これを書き終えたら、心にひとくぎりをつけて前に進んでいこうと思います。長文になりますが、、
それは、再び釜山へ向かったときのこと、
2度目の旅は成田経由が取れなくて、仁川(インチョン)経由釜山行きでした。ニューヨークから仁川に到着したら、なんと! 釜山方面がかつてない大雪に見舞われて、釜山への飛行機は全てキャンセルになっていましたの。
あの巨大なインチョン空港で途方に暮れていたら、ソウル駅までリムジンバスに乗り、KTX という日本の新幹線みたいな超特急列車に乗れば、夜には釜山に着くと大韓航空の人が教えてくれました。
ソウル駅までのリムジンバス、乗客は私ひとりっきり。貸し切り状態でもったいなかったです。1時間程でソウル駅に着きました。日本人ビジネスマンが大きな声で「釜山行きKTX一枚」って日本語で言いながら切符を買っているのが聞こえ、しめた!と思い、同じように切符を買い、その人の後をついて行きました。列車は全指定席になっていましたので、釜山へ行く日本人はそこで見失いました。釜山まで約2時間半くらいだなーと思ってましたの。そして釜山駅は終点だろうなーとぼんやり思っていました。そろそろかなーと思っていたら多くの人々が下車するので、あ、釜山だなーと思い私も下車しました。「プサン〜 プサン〜」って聞こえたような気もしたし。。あれ、まだ乗っている人もいる、変ね・・と、ちょっと思ったりしましたけど・・
釜山駅に着いたらタクシーに乗って「KBSへプタッカムニダー」って言えば分かるよって聞いていました。
タクシーの運ちゃんが、向こうで「どこ行くんだ?」って叫んでいるので、「KBS!」って言ったら、「よっし!来い!」て手招きしました。で、タクシーに乗り込んだら、他にも二人男性客が乗っていて、相乗りタクシーだったのです。え〜、ちょっと怖いような〜 でも、まあ乗ってしまったし、韓国ではこれが普通なんだろうなー。でも支払いはどうするんかなーとか思ってました。
約15分でKBSに着くと聞いていましたが、30分経ってもまだ暗い田舎を走っていて、ちょっと不安になってきました。除雪もされていない雪道で、のろのろ運転だったし、だからだなーとか思っていたら、タクシーの運ちゃんが私の行き先を再確認しました。「KBSホニャララだろ?」って。
「ノー、KBSよ」ホニャララなしよ。運ちゃんの横に座ってた乗客のコリアンのおじいさんが「アドレス持っているか?」って聞くので、紙に書いたアドレスを見せました。そしたら、「ありゃ、これは釜山だがね」って。「え?」「あんた、ここは釜山じゃないよ」って。
が〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん
幸いもう一人の乗客はフィリピンから来たビジネスマンで、英語と韓国語を話せたので、私がどういう状況に置かれているのか説明してくれました。もう、私ショックで言葉もでなかったです。
これからKTXの駅に戻ったとしてももう今夜の列車はないらしい。そのおじいさんが携帯で私の知り合いに電話して事情を説明してくれました。ま、とにかくその夜はウルサンに泊まり、翌日バスで釜山に行くしかないということになりました。おじいさんが、ほんとに心から心配してくれて、フィリピンの男性に「この人とバスターミナルに行って、バスの時間を調べて、それからホテルを探してやってくれー」って何度も何度も頼むのでした。バスターミナルの前で、私とフィリピン人男性が下車しましたが、おじいさんもタクシーから降りてきて、「チャルプタッケー(頼んだよー)」って、何度も何度も言うのです。まるで娘を誰かに託すかのように。私はもう有り難くて「カンサハムニダー、コマッスムニダー」って言い何度も頭を下げました。タクシー代も二人が大半を払ってくれて、私も払いたいって言い、やっと少し受け取ってくれましたの。
翌日のバスはこの天候だしまだ走るかどうか分からないと言われ、ホテルを探し始めました。ところがどこも満室で、なかなか見つからないのです。フィリピン人男性は、自分のバッグもあるのに、私のスーツケースを持ってくれました。ゴロゴロがついているし、私が引っ張るから、と言っても雪道だからと言って、重いのにかかえてずっと歩いてくれたのです。この人も芯から良い人でした。毎月仕事でその町に来ているそうで、安いホテルをあちこち知っていました。30分以上歩き回り、やっと寝る場所が見つかり、フィリピン人男性とはそこでお別れしました。もう深夜12時を過ぎていました。
翌朝6時に起きて、バスターミナルへ行こうとしたのですが、前日にホテルを探すのにあちこち歩き回ったせいか、方向が狂ってしまい、バスターミナルが見つからないのです。しばらく歩いて、道ばたの青年に聞きました。英語が分かる人で、「バスターミナルはこっちじゃなく、反対方向ですよ」って言われました。それで、また逆方向へ歩いていたら、その青年が走って追いかけて来て、どこに行くのか聞いてくれ、どっちにしても今日は雪でバスは走っていないので、釜山へ行くのだったらこのままこの道をまっすぐ歩いて駅に行き、電車で行ったほうがいいですよ。と教えてくれました。へ〜、道間違ってたけど、駅へと向かう道だったんだわねー。
雪道を途中滑りこけながら、やっと駅に着きました。太和江(テハグアン)という駅。釜山行きの切符を買おうとしたら、釜山(プサン)行きの電車はなく、釜田(プジョン)行きになるけどいいか、と言われ、またまた不安になりましたの。でも釜田駅から目的地KBSまでタクシーでそう遠くないということが分かり一安心。
そして、電車が来るまで2時間ほどありました。
あ、そう言えばニューヨークからの機内食を一度食べたっきり何も食べてなかったなーと気がつき、あたりを見たら小さな駅なのにうどん屋があったのです。日本のうどんとほぼ同じで、タクアンもついていました。それを食べてちょっと心と体が温まりました^^
そろそろ電車が来るころかと思い、ホームに行きました。でも人が少なく、反対側のホームには人がたくさんいるので、なんとなく不安になりました。もうすっかり自分に自信がなくなっていましたわ。近くにいたおばあちゃんに切符を見せて、釜田に行くけど、このホームでいいのかなーって顔をしたら、おばあちゃんも釜田行きの切符を持っていて、大丈夫よ。ってにこっと笑ってくれました。「どこから来たのかい?」って聞いてくれたので、「ミグ(アメリカ)」って行ったら、「アイゴー(あれまー)」と驚き、飴をくれました。その飴をなめていたらなんだか急に涙腺がゆるんで泣いてしまいました。
その後は順調に釜田駅に着き、タクシーでKBSへ行き、目的地に着いたのですが、到着したのが大事なイベントが始まる5分前だったんですよね。
あー、これこそ「有り難きこと」なんですね。ブログ友のけいこさんから「ありがとう」の語源は、「有り難し」・・・つまり有り得ないことが起こる...から来ているって教えてもらったばかり。
もし、前回と同様で成田経由の飛行機だったら、成田で足止めとなり、絶対に間に合いませんでしたし・・・
この出来事は一生忘れません。ほんとうにほんとうにありがとうございました。
そして、最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。
太和江駅のホーム ー 釜田駅行きの電車を待つ
駅員さん二人がシャベルで雪かき